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魚を釣るだけじゃない、渓流釣りのすすめ


2020年4月30日
魚を釣るだけじゃない、渓流釣りのすすめ

3月になり、今年も全国各地で渓流釣りの解禁を迎えています。
私は山梨県の笛吹川水系で解禁を迎え、数匹のアマゴとイワナを釣ることができました。あまり沢山は釣れませんでしたが、まだ冬の様相が色濃く残ったイワナや、ややスモルト化した大きなアマゴが釣れたりなど、野生に生きるトラウトたちの多様な姿を見られる楽しい釣りができました。
今年は全国の渓流を釣り歩きたいと思っていて、どんな魚との出逢いが待っているのかとても楽しみです。

魚を釣るだけじゃない、渓流釣りのすすめ
魚を釣るだけじゃない、渓流釣りのすすめ

同じ渓流釣りでも色々な楽しみ方があって、色々なタイプの釣り人がいますよね。標高によって渓相は変わるし、釣れる魚も違います。下流域〜中流域は私たち釣り人にとって、アクセスがしやすかったり、漁協による放流で魚が釣れやすかったりというメリットがあります。逆を言えば、アクセスがしやすい分釣り人の多さがネックだったり、成魚放流された魚は鰭が欠損しがちなので、所謂"鰭ピン"の綺麗な魚は釣りにくかったりといったデメリットもあるわけです。

反対に中流域〜上流域は、未放流エリアが比較的多く野生の魚を釣りやすかったり、人工物が少なく渓相が美しいといったメリットがありますが、アクセスが大変だったり、相応に装備をしっかりと揃えないと遡行出来ないなどのデメリットがあったりします。

魚へのアプローチ(釣り方)も色々選ぶことができますよね。餌釣り、ルアー、フライ、テンカラ…どこで・どんな魚を・どのように釣るのか、楽しみ方は無限で、私たち釣り手次第だと言えます。

……と、前置きが長くなってしまいました。
今回のHuercoマガジンは昨シーズンに訪れたとある源流域での釣り×キャンプのことをお話しようと思います。

友人のみっつとお店のお客さんと私の3人でアタックしました。
友人のみっつとお店のお客さんと私の3人でアタックしました。

源流というのは、上流域の中でもうんと上流のほう、川の中で最も水源に近いエリア。何時間も登山をした先の山の奥深くにある沢で釣りをします。言うまでもありませんが、そうそう容易くアクセスは出来ません。
友人の案内で訪れたその源流は、まるで嘘みたいなターコイズブルーの色をした川が流れる、それはもう美しい場所なのですが、それを見るために越える道のりは相応に難儀なので、行きたがる人が実はあまりいないような…そんな場所です。

私は12kg程度、男性陣は15kg以上のザックを背負って登山します
私は12kg程度、男性陣は15kg以上のザックを背負って登山します

時間でいうと、3〜4時間は登山する必要があります(私の脚だと4時間かかる)。ガレ場や崖崩れ跡があったりと険しい道のりなので行動は夜明けから。日帰りするのはあまりに大変なのでテント泊の道具や食材を背負って行くのですが、その荷物がひとり10kg〜15kgくらいです。

これはまだ序盤できちんと林道がありますが、終盤は林道か獣道か分からないようなガレた道になります。
これはまだ序盤できちんと林道がありますが、終盤は林道か獣道か分からないようなガレた道になります。

目指す場所は8月でも肌寒いくらいの避暑地ですが、まだ標高が低い道中は夏の陽射しで蒸し暑く、けたたましく夏蝉が鳴く山道です。あっという間に水分と体力は奪われ疲労が溜まります。しかしこの登山は終盤に難所が集中するので、後々体力が無くならないようゆっくりゆっくり慎重に登ります。肝心な場面で踏ん張りが効くように、慎重に。

途中の沢で飲み水を追加します。
途中の沢で飲み水を追加します。
浄水器でろ過してからボトルへ。
浄水器でろ過してからボトルへ。

朝の5時頃歩き始め、ようやく到着した頃には9時を回っていました。目の前に流れるターコイズブルーを眺めながら、ああなんだかもう今日の目標達成したわ…みたいな気持ちになります。釣りでいうとまだスタート地点に到着しただけなのですけど…。
すっかりくたびれてみんなヘロヘロ。暫く座り込んで「どーするー?釣り…するー?笑」なんて言い出す始末ですが、せっかく来たんだから魚の顔は見て帰らなくちゃと、誰からともなく重たい腰を上げてテントを張り、釣りの準備を始めます。

青がとても美しい。これが見たくて山を登ります。
青がとても美しい。これが見たくて山を登ります。

実釣開始。

さっきまで億劫だったのに、始めてしまえばやっぱり楽しくて「釣りたい!」となってしまうのが釣りというもので、私達は夢中になってキャストを繰り返します。

期待に反して魚は簡単には釣れてくれず、1回のチェイスに皆が一喜一憂するほどの状況です。途中からはもう、釣りを楽しみたいというよりも「晩ご飯のイワナを釣らなきゃ!塩焼きにビール…!!」と、全員が本能むき出しで躍起になっていました。
今日はひとり1〜2匹キープさせて貰って、夜は塩焼きで晩酌、朝ご飯にイワナ汁を仕込もう!という算段をしていたので、夜の宴のためには何としても1匹は釣りたいところなのです(笑)

ロッドはMG600-5Sで挑みました。友人みっつはXT511-5Sで。
ロッドはMG600-5Sで挑みました。友人みっつはXT511-5Sで。
真夏だけどここの水はかなり冷たい。
真夏だけどここの水はかなり冷たい。
何とか釣れてくれたイワナ。なかなか厳しかった。
何とか釣れてくれたイワナ。なかなか厳しかった。

陽が沈む前に晩ご飯の支度をしなければならないので、いつもよりも早めに竿をたたみます。少量ですがなんとか魚も確保してひと安心。魚は居るんだけどこちらの思う通りに反応してくれない、そんな雰囲気の日でした。まったく魚の姿が見えないというわけではなかったので良かったです。

晩ご飯の支度をしながら乾杯。明るい時間からのビールは最高!
晩ご飯の支度をしながら乾杯。明るい時間からのビールは最高!
釣れたイワナを塩焼きに。
釣れたイワナを塩焼きに。
みっつが良いお肉を焼いてくれました!幸せ〜
みっつが良いお肉を焼いてくれました!幸せ〜
翌朝のイワナ汁も仕込みます。
翌朝のイワナ汁も仕込みます。

ね?ね?とっても美味しそうでしょう?
これがしたくてわざわざ下界から重たいビールや食材を持って登るんですね。(持ってきてくれるのはだいたいいつも友人たちなんですけど。私は大抵食べる係。笑)

夜は呑みながら焚き火をして釣り談義です。
夜は呑みながら焚き火をして釣り談義です。

宴が終わったら、ケモノが歩くガサゴソ音にちょっとビクビクしながら眠ります。夜中にテントを出ると頭上には満天の星空。それを見上げて「あー…明日下山するのやだな…」と呟きながら、暖かい寝袋に潜り込むのです。

こんな星空が見えますよ。流れ星びゅんびゅん。
こんな星空が見えますよ。流れ星びゅんびゅん。

ただ釣りをするためだけに山を登るのはなかなか過酷なものですが、こんな風に楽しい時間がセットだと思えば「頑張って登ろう」という気持ちになります。頑張って登って、少しだけ釣って、美味しく頂き、楽しく呑む、そういう釣り。
私はそんな遊び方が好きだから続けられるのですが、この記事を読んで皆さんはどのように感じられたでしょう?大変そうで無理…と思ってしまったでしょうか。それとも、いいなぁやってみたいなぁと思って頂けたでしょうか。

朝ごはんは飯盒で炊いたホカホカの白ご飯とイワナ汁。
朝ごはんは飯盒で炊いたホカホカの白ご飯とイワナ汁。
朝ごはんは飯盒で炊いたホカホカの白ご飯とイワナ汁。

頑張って源流域まで来たからといって、必ずしも魚が釣れるわけではありません。魚が多い区間もあれば少ない区間もある、たとえ魚がいても反応が良い日もあれば1匹のチェイスすらない日もあります。けれど自分たち以外に釣り人が居なかったり、この素晴らしい渓相で遊べることを思うと、苦労して来る価値があるなぁと私は毎回思います。

でもね、源流まで登らなくたっていいんです。

渓流釣りといっても色々あって、冒頭でも書いたように初心者でも挑戦しやすい手軽な場所もあるし、今回のような中級もあればさらに上級もあるので、自分にはどれがいいかな?と選べるんですよ。だから「敷居が高い」「自分には無理」と早々と諦めないで欲しいのです。だってものすごく楽しいし、せっかく釣りが好きならやらなきゃもったいないよ、って思うから。

私も初めは渓流なんて難しそうで出来ないだろうなぁと思っていました。この源流釣行だって友人の案内無しでは実現しなかったものです。確かに渓流釣りって危ない事があったり勝手がよく分からなかったりするので、どんな場所にしろ最初は経験者に聞いたりついて行ったりするのがいいと思います。

単独では決してトライ出来ない。みっつ2日間ありがとう!
単独では決してトライ出来ない。みっつ2日間ありがとう!

私は渓流釣りを始めて、釣りっていう趣味が以前よりも何倍も豊かなものになって、人生がそれまでよりも何倍も楽しくなって、もっと早く始めてればよかったなぁって心底思いました。それまで何年もの間チャレンジしなかったことをとても後悔したんです。だからこれからは自分がしてきた体験を沢山シェアして、皆さんの「やってみたい」を応援していきたいなと…今はそんなふうに思っているのです。
渓流釣りをやってみたいけどよく分からないな、という方は気軽に相談してくださいね。皆さんの「やってみよう」のきっかけになれたらとても嬉しいです。

MG600-5S

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非公開: MG600-5S ¥31900(税別)

アジングなどの繊細な釣りに対応 ショートカーボンソリッドのティップは極小のジグヘッドもキャストしやすく、5ピースでありながらボトムの感知や、微細なアタリも逃さず伝達します。アジングにおけるアタリ即がけのジグ単向き。

原野友貴

原野友貴フォトグラファー/Huerco official Ambassador

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岩手県出身。フォトグラファー。全国を車中泊で旅しながら水中写真や釣り人の撮影などを得意とする、釣りとキャンプとコーヒーが好きなホームレスフォトグラファー。水や光、岩や草木が創り出す水中世界をこよなく愛し、魚の扱い方や撮り方を通して、自然との優しい向き合い方を提案する。